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東京のある大手企業では、女性社員がセクハラを受けた時、その不届きな男性社員のことを電子掲示板に書き込んで、全社内にバラしてしまったと新聞に報じられていた。
この場合は、社内のLANのパソコンを使ったから、情報の流れる範囲は社内だけと狭かったが、インターネットになると、全世界的にスキャンダルがバラまかれてしまうわけだ。
これまで情報を発信するメディアをもっていなかった社員や課員が、それをもち出したのだから、民主的な組織運営をせざるをえなくなるだろう。
このように電子メディアで、情報交流が可能となると、人と人との交際ができなくなってくる人も出てこよう。
いわゆる″オタク族”である。
パソコンの画面とは話ができても、生身の人間と会話ができないという人の出現である。
そういう問題はあるにはあるが、インターネットの電子メールで話しあっていると、いくら静画面が出てきて、相手の顔がわかっても、いやわかればわかるほど、相手の本当の姿はどういうものか興味をひかれるようになり、会いたくなるものである。
しょせん技術は技術。
本物にはかなわない。
こんな歌が、戦前あったという。
「お顔をみたけりゃお写真あるさ。
お声を聞きたきゃお電話もあるわ。
それでも会わなきゃできないことがある」インターネットの世界でも、情報の交換が盛んになるにつれ、人と人との交流も盛んになるだろう。
企業の組織を根本的に変える水平的ネットワークで個人の多角的能力が発揮されるインターネットの特徴を主従・上下の関係ではない水平的ネットワークと説明した(第3項)。
このインターネットの特徴が、それを利用する組織に持ち込まれる。
組織がインターネットにふさわしいものにならなければ、インターネットが活用できない。
インターネットでは、情報を発信しなければ、情報が集まらない。
この情報発信に際して、いちいち上司にお伺いをたて、会議を開いて決定しなくてはならないような企業では、インターネットの活用はおぼつかない。
こういう企業は、インターネットを利用しようなどと考えないほうがよい。
社員の個性をおおいに尊重し、それぞれに権限を委譲して、その範囲で自由に活動させている企業にこそインターネットはふさわしい。
コンピューターネットワークを持たない企業では、情報が担当者から上司へ、さらにその上司へと階層構造をのぼっていくその過程でふるい分けられ、トップにまで情報が伝わる。
ラミッド型から、水平ネットワーク型の組織へつていく。
人間のやることだから、上司にとって都合の悪い情報は途中で消えることも多い。
トップに正確な情報が伝わらず、その結果、重大な判断ミスを犯すなどということが往々にして起こる。
だからといって、ただでさえ忙しいトップに対して社員一人一人が報告することは不可能なことだ。
ところがコンピューターネットワークを使うと、これが容易なことになる。
社員が社長に電子メールで直訴するなどということが簡単にできてしま。
これだけでも社内の風通しはよくなる。
常時社長が社員一人一人から報告を受けることはなくても、必要なときにトップと直接コミュニケーションできるチャンネルがあることで社員にとって仕事がしやすい。
無闇に、仕事がうまくいかないことを部下のせいにすることも、上司のせいにすることもできない。
社内情報に限定すれば、中間管理職の役割は、情報の中継役から、情報発信のプロモーター役や情報のとりまとめ役に変わらなくてはならない。
コンピューターネットワークは、上司と部下の間の関係ばかりでなく、同僚同士の関係にも変化をもたらす。
例えば、不在の社員の同僚のもとに電話がかかってきたとき。
席にいないのだから、外出していることはわかっても、何時までに席に戻るかなど、詳しいことは同僚でもすぐにわからないのが普通。
ところが、社内にネットワークがつくられ、グループウェアと呼ばれるソフトに、それぞれのスケジュールが登録されていれば、電話を受けた社員がそれを見て、席に戻る予定時間を相手に教えることができる。
たらいまわしにされたあげく、何もわからないと言われることもなくなる。
それだけでなく、プロジェクトの進行状況や資料を関係者であれば、誰でも取り出せるようにすることもできる。
社外からも自社ネットワークに接続できるようになっていれば、出先からそれらの情報を取り出すことも可能だ。
このように社内のネットワーク化は、企業にとって、大きな利益をもたらす。
このことは企業内だけの閉じたネットワークだけでも十分可能なのだが、さらに、この社内ネットワークをインターネットに接続することでメリットは大きくなる。
インターネットを通じて社外の情報を収集できるだけではなく、自社の情報を発信できるのだ。
このときに自社の情報はなるべく出さずに、他社の情報を集めようとしてはならない。
この本の最初で述べたように、情報を発信するところに情報は集まるからだ。
最近、日本の企業でもインターネットを通じて積極的に情報を発信する企業が増えた。
今後、ますますインターネットを使っての企業からの情報発信は増えていくだろう。
その過程で、あらゆるレベルでの、社外との接触が増す。
社内だけのつき合いで事足りずに、社外の人々との交流が活発になっていく。
すると自然に外出が多くなる。
社内では目立たないが、社外では「有名人」などという社員がザラになる。
雑誌で、定年後のために「社外で通用する能力」を開発するための特集が組まれたり、このテーマのセミナーが催されたりする。
しかし、「社外で通用する能力」が問われるのは、定年後のことではない。
インターネットの普及により社外の人々との交流が盛んになれば、その交流の中に飛び込んでいく能力がなければ、インターネットでの情報の受発信そのものができなくなってしまう。
インターネットは、中間管理職の仕事の内容を変えるばかりでなく、これまで以上に一人一人の社員に、多角的な能力の開発を迫るものである。
仕事のやり方はこう変わる在宅ネットワークで女性や障害者にも働く可能性が開かれるインターネットで仕事のやり方が変わった。
正確には、LANやパソコン通信などのコンピューターネットワークにより仕事のやり方が変わり、その変化が、インターネットによって増幅された。
最も大きな変化は、仕事の種類によっては、オフィスで仕事をしなくてよくなったこと。
一部の大企業では、居住地の近くのサテライトオフィスや、リゾート地に建てられたリソートオフィスで仕事をすることも試みられているが、一般に普及するには至っていない。
まだ主流になっていないにせよ、在宅で仕事ができるようになったことの意義は大きい。
なんらかの理由で自宅を離れられない人が居ながらにして仕事ができるのだ。
例えば、子育て途中の主婦や寝たきりの老親をかかえた人々。
これらの人々の中には、働く意欲を持ちながらも、家庭と両立できなくて断念しているケースが多い。
子どもが学校から帰ってくるころには、自宅にいたい。
老親の食事の時間には家にいたい。
オフィスワークでは、こんな願いも叶えられない。
しかし、在宅ワークであれば、仕事の時間配分さえうまくやれば、容易に実現する。
こうなれば、女性だけが家庭にいて、家族のめんどうをみるなどということが少なくなる。
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